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第12章 対峙

そんな酷い事をするヤツが居るのか。

しかも、それがまだ中学に上がったばかりの少年達だとは。

殺されてしまったのは、恋奈のお姉さん。

どんなに辛かっただろうか。

6年前と言えば、恋奈は犯人達と同じ12歳。

その事実にどんなに衝撃を受けた事だろう。

「明石さん。キミが彼に近付いた目的は、彼の周りに浮遊する霊をお姉さんに”喰わせる事”でしょ?」

「え?」

「前に言ったよね。キミの周りにはキミを慕って助けて貰った動物の霊が憑いているって」

「はぁ…」

「明石さんのお姉さんを殺した奴等は魂自体がとても穢れている。

人を殺した事に対して、罪悪感を持っていない。

そんな人間を憑き殺すのは普通の霊では難しい」

「え…?それってどういう…?」

「明石さんの中に殺されたお姉さんの霊が居る。

悲惨な殺され方をしたんだから、恨んで成仏出来なかったのは当然の事。

しかし、犯人達の魂は穢れ切っていて、お姉さんの力では呪い殺せない。

他の魂を喰らって力を付けなければならない」

所長が話をしている間、恋奈は黙って俯いているだけだった。

俺の手の下で恋奈の華奢な手が震えていた。

「お姉さんは、まずお母さんの魂を喰らった。

それでも彼等を呪い殺す事は出来なかった。

明石さんはお姉さんに餌となる魂を与え続ける必要があった」

所長の話はぶっ飛び過ぎて、俺には理解出来ない。

「キミは霊感がないから、気付かないかもしれないけど、キミには結構凄い霊も憑いてるんだ」

「え?ええ───っ!?ど…どういうっ!?」

「キミさ、この近くの公園の裏手にある、誰もお参りしない小さな祠に、毎日、コンビニの弁当の残りとか、賞味期限切れ間近の和菓子とか供えてるだろ?」

「え?どうしてそれを…?」

「そこに祀られてる霊…って言うか神様が、キミに感謝して憑いてるから」

「ええっ!?」

「でもね、その神様を喰らっても、明石さんのお姉さんの力では、恐らく5人は無理だ。やっとこの前、一人だろ?」

「それじゃあ、神様は…?」

「安心しろ。喰われてはいない。
いや、喰えなかったんだろ?
神様の方が強くて。
その代わりに彼に憑いていた他の動物達を喰らった」

所長がそう言うと、恋奈はコクンと頷いた。

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