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第14章 捜索

「ん?何?」

なっ…!?

俺が振り返ると、ハナさんが注連縄を揺らしていた。

…って、この鈴の音はアンタかーいっ!!

そう心の中で突っ込んだ俺。

「こんな時に何やってんすか!?マジでビビったじゃないっすか!!」

俺はハナさんに抗議する。

ハナさんは俺を鼻で笑い『臆病者』と言って嘲りの言葉を投げつけて来やがった。

くそう…。

何も言い返せない。

しかし、一連のそれはハナさんの優しさだったと言う事を直ぐに俺は知る事になる。

「寝てたんじゃないんですか?」

俺がそう尋ねると、ハナさんは『寝ようと思ったんだけど、昨日寝過ぎて眠れない』と答えた。

全く…。

この人は…。

俺は少し呆れて、溜息を一つ零す。

しかし、次の瞬間。

異様な物が視界に入り、俺の身は凍り付いた。

先程、設えたばかりの盛塩。

それが真っ黒に煤けていたからだ。

それは招かざる者が来た証拠である。

俺が一点を見て固まっていると、ハナさんは『気付いてしまったか』と言って溜息を零した。

さっきの鈴をハナさんが鳴らしていたのは、『招かざる者』が鳴らしていたのを俺に悟られせない為だったんだ。

「狙いはハルだから、あたし達に憑く事はないと思うけど…。ほれ」

そう言うとハナさんは何かを投げて寄越した。

俺がそれをキャッチすると、ハナさんが『それを胸のポケットにでも入れておきな』と言った。

掌の中のそれを見ると、どうやらお守りの様だ。

清めの塩と所長が書いたお札が入っているとの事だった。

俺は有難くそれを胸のポケットへと仕舞う。

「アンタその子から離れるな。そのお守りがあれば大丈夫だから」

ハナさんはそう言うと、新しい盛り塩を持って来て、煤けた塩と取り換える。

俺が手伝おうとすると、ハナさんは恋奈から離れるなと言う。

いつ霊達の矛先が恋奈に向かうか分からないからと。

そうだ。

俺とハナさんには霊感がない。

だから、霊がどの様に動いているのかが分からないんだ。

俺は寝ている恋奈を抱き起こし、彼女を抱き締めた。

少しでも密着している方が、お守りの効果があるんじゃないかと思ったからだ。

それを見たハナさんは、何を思ったか麻縄を持って来て、俺の周りに円を描く様に置いた。

「何すか?これ…」

「簡易結界。低級な霊なら境界線を引くだけでも入れなくなる」

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