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第14章 捜索

おー!!流石だ。

所長のお姉さんであり、助手でもあるハナさんは、この手のものには詳しいんだな。

ハナさんは縄を置くと、また椅子に腰を下ろした。

…って言うかハナさんは大丈夫なのだろうかと俺は心配になる。

お守りも俺が貰っちゃったし…。

「ハナさんは、大丈夫なんですか?」

「ん~?憑いたら後でハルが祓ってくれるっしょ!」

「乗っ取られたりとかは…?」

「今のところない!」

きっぱり言うなぁ。

霊感がないし、気付いてないだけなんじゃないのか?

俺はそう思ったが、言葉にするのは止めておいた。

ハナさんから痛い拳骨は貰いたくはないから。

「それにしても…あとどれくらい待っていればいいんでしょうね…」

俺は恋奈の顔を見下ろしながら、ハナさんに尋ねてみる。

そうしたところで、ハナさんにだって分かる訳がないのに。

「さあね」

案の定、この答えだよ。

分かってはいたけど。

それから一、二度鈴が鳴り、その度にハナさんは塩を盛り直したりしていたが、所長と恋奈は戻って来ない。

やばい事になっているんじゃないかと、気ばかり焦る。

もう半日くらい経っているんじゃないだろうかと思い時計を見ると、所長が出て行ってから、まだ2時間くらいしか経っていなかったのだ。

「直ぐに見つかっていても、彼女が言う事を聞いてくれなければ、連れて帰って来れないからね」

そう言ってハナさんは溜息を吐いた。

ハナさんだって、じっと待っているのは辛い筈なんだ。

「それよりさ、黙ってないでアンタが彼女に話し掛けなよ。アンタの声ならその子に届くかも知れないだろ?」

そうだろうか。

そんな事で恋奈が戻るのなら。

俺は何度でも呼び掛けるよ。

「恋奈…。今どこに居るんだ?お願いだから戻って来てくれよ!恋奈まで居なくなっちゃったら、誰がお姉さんやお母さんの墓を守るんだよ?俺…嫌だよ。お前の墓参りとかすんの…。俺は恋奈に傍に居て欲しいんだよ…。頼むよ…。恋奈…」

俺は必死に話し掛ける。

「恋奈…。一緒に居たいよ。俺に恋奈の事守らせてよ…。なぁ?戻って来てくれよ…」

情けない事に、青白い彼女の顔を見ていたら、何だか泣けて来た。

俺の涙が滴となって頬を伝い、恋奈の瞼に落ちる。

ポタポタ…

ポタポタ……と。

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