テキストサイズ

アプリ

第14章 捜索

情けないな、俺。

何もしてやれないなんて。

そんな事を思っていた時だった。

ハナさんがハッとした様に、椅子から飛び上がるように、立ち上がる。

俺はその行動に、一瞬、ビビった。

「どうしたんですか?」

俺が恋奈から顔を上げて、尋ねるとハナさんが所長が戻って来た事を教えてくれる。

恋奈が戻れるようにと、俺は周りを囲む結界を壊した。

程なくして、恋奈の形の良い眉が、顰められる。

やった!恋奈が戻って来たんだ!!

俺は期待に胸を膨らませて、恋奈をじっと見つめた。

ハナさんも、所長の周りの結界を解いている。

結界の一部が崩れると、所長の身体はムクリと起き上がった。

「はぁ~…疲れた…」

そう言って所長は、首を左右に倒し、コキコキと筋を鳴らす。

ハナさんは冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと、所長にそれを渡した。

それを所長はゴクゴクと喉を鳴らし、500mlの半分くらいまで飲み干した。

俺はその光景を横目に見ながら、恋奈の様子を伺う。

顰められた眉。

恋奈の瞼がピクピクと動く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ