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第15章 告白

「恋奈、訊きたい事があるんだ。エッチはそれが終わってからにしよう?」

俺がそう言うと、恋奈の表情が一瞬曇った。

しかし、彼女もある程度覚悟はしていたのだろう。

彼女のきちんと座り直すと、「何でも訊いて」と言う。

その顔からは笑みは消えていて、真剣な表情だった。

「言えない事があるなら、言わなくていい。だけど、俺は恋奈とお姉さんの事を何とかしたいんだ。だから、出来るだけ話してくれると嬉しい」

俺がそう言うと、恋奈はコクンと頷く。

真剣な顔も可愛い! けど、今はそんな事を言って悶えている場合じゃない。

「恋奈は……お姉さんを酷い目に遭わせた奴等を知っているんだな?」

俺が尋ねると、恋奈はまたコクンと頷いた。

「恋奈が前に話してくれた亡くなった”学校の子”って言うのはお姉さんに関連してるのか?」

俺は更に質問を続ける。お姉さんの死に関わった人間は、今、恋奈と同じくらいの年齢の少年達だ。

話を聞いてから調べてみたけれど、『恐怖に顔を引き攣らせて死んでいた』なんて、新聞にも週刊誌にも載っていなかった。

最初は単なる学生達のいい加減な噂話に尾ひれが付いたものだと思っていた。

だけど違うんだ。多分、恋奈はその現場に居た。だから知っていたのだ。

何故なら、そいつを恐怖に陥れたのは恋奈とお姉さんだから。

出来れば否定をして欲しいけど。

残念ながら、恋奈の答えは『YES』だった。

関係性を肯定したからと言って、恋奈達が手を下した訳ではないけど。恋奈の口から語られたのは、俺の推測通りだった。

「私達ね、アイツの魂を喰らうつもりだったの。もっと力が欲しかったから。だけど、出来なかった。危うくお姉ちゃんの方が喰われてしまうところだった。私、もっと力が欲しいの。ねぇ、アキちゃん。エッチしよ? エッチして赤ちゃん作ろ?」

「恋奈? 何を馬鹿な事を言ってんだよ。恋奈はまだ高校生じゃないか。赤ちゃんなんて作ったら……」

「大丈夫。産まないよ? だって、私達が喰らうんだもの。ねぇ、知ってる? 赤ちゃんの純粋な魂が闇に落ちるとね、それはもう凄い力になるんだよ。赤ちゃんは無邪気だから。私達はその力を利用するの……」

そう言う恋奈の目には光が宿っていなくて、暗く濁っている。

蛍光灯の灯りが反射して、俺を瞳に映してはいるけれど。

俺の事なんて見てはいなかった。

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