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第15章 告白

そんな恋奈を俺は救えるのか?

思い上がりなんじゃないのか?

もう、恋奈の心は……。魂は闇に囚われてしまったんじゃないのか?

そんな事を考えてしまう。

いや、駄目だ。

俺が諦めたら、誰がこの子を支える?

誰が彼女を幸せにしてやるんだ?

今まで不幸だった彼女の……。そしてお姉さんやご両親の分まで、恋奈は幸せにならなきゃいけないんだ。

俺なりのやり方で最善を尽くす。

もし、それでも救えなかったら。

その時は、俺が一緒に堕ちてやる。

だからそれまでは。お願いだから復讐だけに囚われないでくれ。

「しっかりしろ! 恋奈!! お前は、もうそんな事を考えなくていいんだ。所長が何とかしてくれる。だから、お願いだよ。復讐なんて考えるのは止めてくれ!!」

俺は恋奈の両肩を掴んで揺すぶる。

ガクガクと恋奈の頭が揺れる。

まるで、糸の切れた操り人形の様に。

このままだと、首が落ちてしまうんじゃないかと不安になるくらいに力なく揺れる恋奈の頭。

それでも、正気に戻って欲しくて、俺は彼女を揺すぶり続ける。

(くそっ! 一体どうすれば……?)

気持ちだけが焦るばかりで、どうしたらいいのか分からない。暴力は嫌いだが、頬に平手をかませば正気に戻ってくれるだろうか?

そんな考えが頭に浮かんだ時だった。

脱ぎ捨てた洋服から、僅かな振動音が聞こえる。

恐らくスマートフォンだろう。

こんな夜遅くに一体誰が?

母親か? それとも友達?

どちらにせよ取込中だし応答したくないなと思ったが、俺の手は服を手繰り寄せスマートフォンを取り出していた。

送信者は所長だった。これは有難い。ひょっとしたら所長が何かアドバイスをくれるかもしれない。

俺は藁にも縋る思いで、応答のアイコンをタップして電話に出る。

「もしもし?」

『ああ、アキ? 今、大丈夫か?」

「大丈夫じゃありません!! 所長、助けて下さい!!」

『おいおい。随分と切羽詰まってんな。ヤリ過ぎて彼女が失神しちまったのか?』

所長はそう言うと電話の向こうでクククッと笑った。

所長が下ネタ系の冗談を言う事に驚いたけれど、そこは華麗にスルーだ。今の俺はそれに反応を返してやる余裕はない。

「恋奈がおかしくなっちゃったんだ! 所長、何とかして下さいっ!!」

俺はそう言いながら、恋奈の方に視線を移した。

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