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いつまでもここに居て

第9章 僕と君の幸福論[21]


ギュッと手を握った。
「ではよろしく。櫻井さん」
「よろしくお願いいたします。大野さん、」

それから僕の不思議な生活は始まった。

櫻井さんは僕のアトリエをすべて知っているわけじゃなかった。
本人曰く「キャンバスから見えた景色」にある場所ならわかるのだ。

櫻井さんの寝床はもちろん絵の中。
このキャンバスには入り込めるみたいだから、水色の背景だけのキャンバスにふかふかのベットを描いた。
キャンバスに消えていく櫻井さんはそのベットに驚きを隠せない表情だった。
嬉しそうにベットで寝ている櫻井さんの周りに必要な物をちょこちょこと描いていった。
棚、服、バック、机。
「ふぅ…こんなものかな。」
筆を置いた僕はそのままベットルームに向かった。

「すごい!!服がこんなにたくさんある!!大野さんありがとうございます!」
「いやいや。ちゃんと使えてるみたいで良かったよ。」
「ふんふん~♪洗濯物干してきますね!」

ノリノリな櫻井さんは沢山の溜まった洗濯物を干しに行った。
俺はそのままキャンバスに向かう。
沢山の色をチューブから出し、ぺたぺたと塗っていく。

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