テキストサイズ

いつまでもここに居て

第9章 僕と君の幸福論[21]


「あ。」
ローズレッドの絵の具が無くなった。
また相葉商店に行くしかないかな…

お金を持ち出し階段を降りていく。
「あれ?大野さん買い物ですか?」
「うん。絵の具が無くなっちゃってね。」
「え?それなら、二階に上がればありますよ。」
「そうなの?」
「ふふ。とりあえず上あがりましょ。」

二階に上がると、小さな真っ白いキャンバスに櫻井さんは真っ黒に塗りつぶした。
「これに欲しい絵具の絵を描いて。」
「…わかった。」

絵を描き終わり、そのまま櫻井さんに手渡す。
そのまま櫻井さんはキャンバスの中に手を突っ込んでいく。
ずるりと引き抜いた時には僕が描いた…絵の具。

「すごい…こんな事も出来るの…?」
「うん。大野さんの絵は本当に本物っぽく描き上げるからちゃんと使えるんだよ。」
「すごいね…何でもできちゃうんじゃない?」
「うん。なーんでも出来ちゃうんだよ。俺がいれば何でも解決しちゃうんだから、ずっと俺と絵を描いてようね。」
「うん。嬉しいよ。俺頑張るからね。」

俺はその絵の具を受け取ると、また黙々と絵を描き続けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ