いつまでもここに居て
第13章 相合傘 濡れてる方が 惚れている[54]
久々のデート。
ゲームばっかしてていつも家で過ごす事が多い俺達だけど、たまにはこうやってそれらしいことやらなきゃなと思った。
「じゃ、出かけますか。」
「うん。」
行き先は決めた。潤が多分好きなところ。
車に乗り込んで走らせる。
潤は時々俺代わるよ?なんて言ってくるけど、今日は俺が頑張らなきゃ。
たまには俺だってやるんだ!って所を見せなきゃ嫌われてしまう。
今日は天気が良かったから、スピードも出る。
自分が好きな曲をBGMに、いつもの会話。
「昨日あれが美味かった」だとか
「あの車のオッサンかっこいいな」とか
なんか家で2人の時の会話になっちゃって、また申しわけない気持ちになる。
「潤さ…」
「ん?何、眠くなった?」
「あ、いや…そうじゃなくて、」
「ふーん、なら良いんだけど。」
「…」
「俺のこと好き?」それだけで当たり前のように「好き」と返ってくるはずなのに。
言えなかった。
そんな自分がもっと惨めになった。
浮かれていた自分が突然一人ぼっちに感じた。
着いた先は、横浜。
ここなら見たいものとか、やりたいことが揃ってるはず。そして、俺の計画も果たせる。
「どっか行きたい所とか無い?」
「うーん、ニノなんかないの?」
「なんかね、リーダーに新横浜美術館がオススメだって言われたんだよねえ。…行ってみようか?」
「まあ、決めてないならそうしよっか。」
そのまま近くに車を止めて、目的地に向かった。