
いつまでもここに居て
第13章 相合傘 濡れてる方が 惚れている[54]
「おまたせ。」
「遅かったけど…大丈夫だった?潤、」
「ん、ごめんね。外、突然の土砂降りみたいだからさ傘買ってきたんだ。後ろにも傘買う方が居たから一本しか買えなかったけど…とりあえず戻ろっか。飲み物は車戻ったら飲もう。」
潤は黒のビニール傘を外で開くと、俺を引き寄せて歩き始めた。
男2人を十分に包むような傘なんだろう。
雨はちゃんと凌げる。
会話をしながら歩いていく。
この後何も決めてなかったから、解散にしようかなんて話になって、なんだか虚しくなってしまう。
「あと五分ぐらいかあ…意外と遠いな…」
「ごめんね、計画とか立ててなかったし」
「ううん。今隣にニノがいるから遠いのが嬉しいよ。」
そうニコリと俺を見て笑う潤。
傘の中で初めて目が合った。
「え、」
「ん?どうしたの?」
目が合った時に見えた潤の肩は雨を凌げていないためずぶ濡れだ。
傘が大きいから凌げたんじゃない、…潤が俺に雨がかからないようにしたから凌げたんだ。
その事がわかった時
ふとあのポスターにデジャヴを感じた。
「相合傘 濡れてる方が 惚れている」
今ならその風情を感じられる。
俺、喜んでもいいのかな。浮かれてもいいかな。
風情を感じられた時、
濡れていない方は雨に濡れている彼にもっともっと、
濡れているんだ。
その事実をまた知ってしまった俺はまた一つ潤が離れて行って欲しくないという気持ちが強くなった。
