
いつまでもここに居て
第13章 相合傘 濡れてる方が 惚れている[54]
…俺は潤の演技力に騙された。
掠れた息と熱を含んだ声。
完全に(迷惑かけちゃったなあ)って俺の気持ちに漬け込んできた演技だった。
風邪だと思っていたのに、ホテルの中に入るとピンピンしていて、おまけに「二名で予約していた松本です」なんて言い出したから更に悔しくなった。
それでもやはり潤の体調は心配になる。
「…潤!なんで、ここに…あっ、まずは体拭いて、それで…」
「ニノ」
「え、何…んっ、」
潤から滴る水をタオルで拭き取っていたのに、ふわりと俺もタオルに包まれキスをされた。
雨に濡れた潤の体は身体の適応能力により、体温が高い。
