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いつまでもここに居て

第13章 相合傘 濡れてる方が 惚れている[54]



「最後にこの場所で、愛を伝えたい。…あの時、俺はそう言った。だから…」
ポケットから出した小さな箱。その中には二つのリングが。
「和也、愛してる。これからもずっと一緒だ。」
すっと薬指に付けられたリング。
「うっ、うわあああ…」

緊張がすべて外れた俺はつい潤の中で泣いた。
嬉しさやら、こんなくだらないこと考えてた自分とか、こんな自分を愛してくれる潤のこととか色んなことが込み上げてきて泣いた。

そんな俺をずっと潤は抱きしめてくれた。

「さ、風呂に入ろう。」
「うん、」
ぐしゃぐしゃになった顔を隠し、風呂についていく。
2人で並ぶように湯船に浸かると先程リングを付けた方の手を重ねた。
ライトの光に照らされた薄い手は血潮が見えていて、生きている実感を抱く。
「俺、幸せだよ。」
潤がぽつりと呟いた。
「俺、嫌われないのが当たり前だと思ってた。いつも迷惑かけて、全部潤がやってくれるから…って。けどね、怖くなった。潤は俺に合わせてるだけなんだって…だから、今日のデートで挽回したかった」
「うん」
「結局、時計は手に入らなかったし、雨は降ったし、潤がずぶ濡れだし、何も無かったけどね…」
「そんなことない…!」
ぎゅっと俺の手を握る力が強くなる。
「嬉しいよ、俺の事考えてこのデートだって頑張ってくれたじゃない。いつもの和也も素敵だけど、いつもと違う姿が見れて嬉しかったよ。俺の事を考えてる和也の顔が好き。」
愛してる。そう言って繋いだ手ごと俺を抱きしめられた。

嬉しくて、返すように愛してるとつぶやくと、潤も嬉しそうに笑った。

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