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いつまでもここに居て

第5章 ひまわりの約束[21]


ざわざわと揺れる向日葵を泣きやんだ俺と、そして初めて外に出た智くんとで眺めていた。
炎天下の中熱さも感じなかった。

「あ、あの2人何してるの?」
「どれ?」
ある時智くんが指さしたのは二人の涙を流しあう男女。
多分赤紙が来たんだろう。
男女は向日葵畑の中で…キスをした。

「あ…あれはね。キスって言うんだ。ずっと離れたくない、好きで好きでたまらない愛しい人とまた会いましょうって約束する時にするんだ。」
「へえ…約束か。先生もした事あるの?」
「ん…無いなあ。仕事で忙しかったもんな…」
「ふふ、かわいそう。お母さんとお父さんとすればいいのに」
「ちょ…!そういう事じゃないんだってば…!!あっ、ちょっと…、、」
「あはは!じゃ、どういう事なの?」
鉛筆とノートを置いて、突然立ち上がった智くんは向日葵畑をかけて行った。
「ちょ…こら!待てー!」
智くんを追って走り出した。
向日葵畑に広がる智くんの笑い声にキスをして涙を流しあっていた男女はくすくすと微笑ましく笑っていた。

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