
いつまでもここに居て
第5章 ひまわりの約束[21]
走って疲れてしまったのか智くんは熱っぽくなった。
背中に背負って智くんと病院に向かう。
「先生…また連れてってね…」
背中から聞こえた智くんの声。
「うん。約束だ。絶対行こうな。」
そう言って。キスをした。
智くんは間違えていた。好きでたまらない人と言うのは
家族でもない友人でもない。
恋人や愛しい人のことを指すのだ。
恋愛を知らない智くんにはまた今度。
今度は恋愛ってものを教えてあげよう。
智くんは嬉しそうに笑うと静かに寝息を立てて寝始めた。智くんの手に握られている1輪の向日葵は真っ赤な夕日の中でキラキラと輝いていた。
電車は出稼ぎに行った人達で満杯で歩いて帰った。
歩いても大丈夫な距離。疲れ果てた身体に鞭打つように一歩一歩足を進めた。
