いつまでもここに居て
第5章 ひまわりの約束[21]
僕が死んだ日。
僕は朝になるまで智くんの頭を撫でた。片方の手には向日葵。そして、もう片方で手を繋いで。
ずっと。ずっと。
朝日は暗い掃除置き場の隅にも差し込んできた。
僕らの明日も照らしてくれるような。そんな朝日だった8時頃。
魂の無い体はとても重かったが、近くの窓まで智くんを背負って行った。
「智くん…見て。今日も朝日が綺麗だよ…あれ…」
目の前に沢山の向日葵が咲いていた。
「智くんが言ってたのはこれなのかな。綺麗だね。智くん。約束果たせたよ…」
涙が止まらなかった。
けど許して欲しい。【次】はちゃんと優しくなるから。どうか。今だけは君の為に泣かせて欲しい。
すると、ぶわりと向日葵が大きくなびいた。
それと同時に廊下の中に黄色の花びらが僕らに向かって沢山入ってきた。
とっさに智くんをぎゅっと抱きしめて、キスをした。
「綺麗だね、智くん。」
黄色の花びらの中で2人は美しく、向日葵の最期のように散った。
8:15。これが僕達の最期だった。
ーーーーーー
ね?いい話だっただろう?
僕は幸せだったよ。
君は?…へえ。そうか。
僕はこの1週間で本気で人を好きになれた。
【袖触れ合うも他生の縁】
って知ってるかい?
そんな一週間の出会いもそんな事がきっかけかもしれないんだ。
もしかして…智くんが夢で見たとか、空中を指差していたのは君のことなのかな?
君は…ううん。
幸せなんだなって。ちょっと嬉しくなっちゃって。
智くんは泣き虫になったんだね、君は?
そっかそっか、ちゃんと優しくなれてるんだね。良かった。
【次】はちゃんと優しくなれたんだね。
智くんに向日葵をプレゼントしてあげて欲しい。
向日葵には沢山の意味が込められているんだって。
…そう。教えて貰ったんだ。
僕の敬意そして別れの光輝。そして今の君と僕の…
その後は自分で調べてみてよ。
今の時代は箱で何でもわかっちゃうんだろう?
では…智くんをよろしく頼むよ。
今日は楽しかった。
また会おう。【翔】。
遠くでともる未来でもしも 僕らが離れても
それぞれちゃんと歩いていて信じていた。その先で また出会えると信じて
そして今ちぐはぐだったはずの歩幅がこうやって君の人生でひとつに重なっているんだ。
それがどんなに幸せなことかどうか。
これからもどうか大切にしてほしい。