いつまでもここに居て
第5章 ひまわりの約束[21]
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□櫻井part□
不思議な夢を見た。
もう1人の俺が出てきて、昔話をしてくれて。
時には見覚えのある名前が挙がった。
頬からは自然な涙が流れていた。
「袖触れ合うも他生の縁…か。翔もいいこと言うんだな。」
ちゃんと優しくなれてるよ。
多分智くんと雅紀が泣き虫な事。
そして、俺や松潤、ニノが泣かないのも…
優しくなるためなんだって事なんだと。
ばっとベットから跳ね起きるとカーテンを開けた。
今日も綺麗な朝日だ。
すると電話が鳴る。出ると愛しい智くんだった。
「ごめん…あのね、寝坊しちゃって…昨日ね、いい絵がかけたんだ。それでね…」
ちょっと涙声になってる智くん。
「大丈夫だよ。俺も寄るところがあるからゆっくり準備しててよ。そっちに迎えに行くね。」
「うん…ありがとう…じゃ」
「あっ!待って。」
何?と不思議そうな声を出す彼に
「今日も好きだよ。愛してる」
と綺麗な朝日を眺めて言った
彼は電話からとても恥ずかしそうにありがとうと笑っていた。
今日は八月六日。
家で静かに黙祷し、家を出た。
俺は途中で向日葵を買うために花屋へ向かった。
「あ…お姉さん…」
「はい?」
あれ…この人…
「えっと、この花言葉、って…どういう意味があるんですか?」
「あ、これですか?これはですね…」
俺は説明してくれるこのお姉さんに、智くんと行った雑貨屋で一度出会った。
説明を一通り聞いた俺は
「ありがとう。今日は【1人】で来てるからお金は先に払うよ。」と俺しかわからない冗談を吐いた。
そのお姉さんは花を包みながら昔と同じように困った顔をして微笑んだ。
向日葵の花束を持って智くんの家路を歩く。
向日葵の花言葉は
愛慕。そしてあなたを見つめる。
…憧れや光輝って意味もあるらしい。
夢の翔は
そんないろいろな思いを込めて自分で選んで花を送ったわけじゃなかった。
けど、真っ直ぐな優しさに照らされた向日葵は2人を無意識に導いていたのかもしれない。
二人に相応しい花だった。
そして、俺は智くんの強さに憧れ、愛慕し、そして、貴方を目指し走った。時に涙脆い彼を僕は笑顔で抱きしめて、髪をなでた。
そんな僕らにも相応しい向日葵。
包んでもらった向日葵はどの向日葵よりも真っ直ぐに咲いていて、僕らの幸せとこれからの平和を強く願うようだった。
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