いつまでもここに居て
第6章 ※上限の月[34]
何日も経つと俺にだけには我侭が多くなった。
「雅紀~なんか面白い本の話とかしてよ」
「雅紀ーこればっちゃが食えって言うんだけどさ、食えないから食べて」
「雅紀〜テレビつけて」
最初はこんなものだったが、いつも1人でやっていることまでも俺に言いつけるようになった。
一応これでも世話係という身分だし、ニノに付きっきりする時間は少ない。
「ばあやにやってもらいな…」
申し訳ない気持ちはあるのだが、最初は仕事内容を詰め込むので精一杯でそう言うのだが、ニノが余りにも悲しそうにするもんだからつい我侭を聞いてしまう。
出来る時は何でもしてあげたい。そう思って、早く仕事をおわらせるとニノの話し相手になったりした。
そりゃあ、せっかくいい仕事を紹介してもらったし、先輩のばあやは優しいし、そして何よりもニノとの会話が一人弟を持ったようで楽しいからつい時間を忘れて付きっきりになってしまう。
仕事が慣れてくると、次はニノと喧嘩するようになった。
「雅紀ー!!」
「はっ、はい?何?」
「何じゃないよ!!ご飯何処にあるの!?」
「目の前にあるじゃんか!」
「見えない!!」
「くそー!!お前ばっちゃの日はちゃんと飯食えてるの知ってんだぞー!!」
「うるさいー!口に入れて!!」
それを見て、ばあやはふふふ。と笑っている。
ニノは折れたのか拗ねながらも食事を始めた。