いつまでもここに居て
第6章 ※上限の月[34]
雅紀が仕事中にばっちゃに呼ばれた。
「いい和也。真夜中特に月が綺麗な日。そんな日は絶対に隣の部屋は覗いちゃダメですからね。」
「…なんで?」
「雅紀さんだってお疲れの中寝てるんです。夜はそっとしといてあげないと雅紀さん次の日は遊んでくれなくなりますよ?」
「わかった。」
月が綺麗な日。…か。
それは俺にとっても特別な日。
今日は月が綺麗な日だとニュースで言っていた。
今日みたいな月が綺麗な日。
それは俺にとって特別な日。
白い光に照らされたものなら見えるんだ。
一日ぐらいなら雅紀だって夜更かししてくれるだろう。
今日みたいな日は外の空気を美味しいはずだ。
外の景色を俺は掠れていくまで見ていた。