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いつまでもここに居て

第6章 ※上限の月[34]


隣の部屋の扉を開ける。
1歩踏み出すと、足元にひやりとしたものを感じて声が出そうになった。
(水…?)
床は水浸しになっていた。
そして空のペットボトルが散乱している。
普通はこんなのものなのかな。
俺は他の家の部屋とか見た事なんてないからわからない。

静かに静かに雅紀のベットに向かう。
あと1歩…あと少しで…

その時。
「うっ…!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
突然声を上げて喉を掻きむしりだした。
その悲惨さに耐えられず、つい、声が出た。
「あ…いや、」

「ニノ…?なんでここにいるの、」
「ま…雅紀…」
気付かれた俺は動けなかった。雅紀の声のトーンは聞いたことがなくて。
「来ちゃダメだって言ったばかりだよね…」
近づいてきた雅紀の顔。
…怖かったけど、すごく綺麗だった。

「ニノ、なんで来ちゃいけないか…教えてあげなきゃだね、」
「ごめんなさい…ごめん、雅紀…叩かないで…」
「ニノ?そんな事しないよ。ニノも俺も気持ちよくなれるものだよ…」
そういった瞬間俺は雅紀のベットに沈んだ。

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