俺氏、捨て子を拾いました
第5章 今日は何する? 息をする
「ふたばちゃんは、何かしたいことあるか?」
何も考えずにふたばちゃんにやりたいことを聞いてみる。ふたばちゃんは待ってましたと言わんばかりに、勢いよく答える。
「この辺りをお散歩したいです!! 辰海さんと一緒に!! そうです!! 東大さんも誘いましょう!!」
おーけー、それは俺に『死ね』と言ってるんだね? 言ったよね? 今、死ねって言ってるよね!!!?
屈託のない笑顔見せおってぇ……そんな笑顔でこの俺が折れるとでも……
「辰海さん! お願いします!!」
「おーけー……把握……」
可愛すぎて、いつの間にかおーけー言ってました。南無三ですわ……
しかし、きゃっきゃとはしゃぐふたばちゃんを後ろから見ていると、そんなことどうでも良くなるようで……俺の顔から自然と笑みがこぼれる。
やれやれ小学生は……最高だぜッッ!!!!!
「じゃあ早速東大さんを誘いに行きましょう!!」
天国からいきなり地獄に落とされた気分とはまさにこのこと……か!!
「ま、ままま待ってよふたばちゃん!! まだ俺、歯も磨いてないし、顔も洗ってないし、髪も整えてない!!」
「ほよ……? 確かに今起きたばかりでしたね……ふーむ、昨日と何ら変わらなかったので、思わずもう支度出来ていると勘違いしてしまったです。すいません」
小学生特有の悪気のない毒舌が俺の心に刃物となりて突き刺さる!! 精神的ダメージ98万のダメージ!! 辰海は力尽きた!!
「ええやん……しゃーないやん……そんなん……わい、確かにミジンコみたいな存在やけどな……? 必死に生きてんねん……」
「辰海さん、なんか、ごめんなさいです」