俺氏、捨て子を拾いました
第5章 今日は何する? 息をする
「辰海さん! これからどこか寄りませんか?」
「カラスが鳴いたら帰りましょって言うでしょ? ダメ」
「カラスどころか、まだ空青いですよ!」
俺に時間を操れる能力はなかったようで、散歩してから1時間ぐらいしか経っていない。
もう夕方になってもいい頃合いなのに……神様は無情だ。
「この近くの商店街を散策したいです!!」
「ええ……人多いじゃん……てか、よく商店街とか知ってたね……」
「ふふん! もっと褒めてくれていいんですよ!」
「はいはい、すごいねー」
この付近には確かに商店街がある、規模はそこそこで割と活気のある商店街だとか……行ったことないけど。
「場所分かります?」
「分からん」
俺を見上げるふたばちゃんから目をそらして、耳を掻く。ふたばちゃんは直ぐに大きな声で反応した。
「ええー!? じゃあどうするんですか!?」
「これは仕方ない! 帰ろっか!! あったかハイムが待ってるよ!!」
「……東大さんに言いつけてやる」
俺は光の速さで土下座することしかできなかった。
先生に言ってやろーに恐怖する気持ちを思い出した瞬間であった。