俺氏、捨て子を拾いました
第6章 金がない。
ヤッベェ……マジで……ッベェ……! 足、腕、頭……身体全てが痙攣して正常な判断をすることさへできねぇええええ
俺の眼球多分今見定めてない。2つの目玉が違う方向を向いてるよ? これ。これが斜視ってやつなのね。気付けて良かった俺の状態。
なんて言ってる場合ではない。俺は今、飲食店の作業する人サイドの場所に入っている。
見たくもなかった飲食店の裏側に潜入している訳だ。マジで興味ない、飯食えたらそれで良いじゃん。異論は認めない。どうも。
黒の前掛けをしぶしぶ俺は腰に巻いてはいるものの、足は全く動かずにいた。
さながら、足は釘で地面に打たれ、身体は石に変化させられたといったところか。
これは仕方ない。どう足掻いても俺は動けない。
そして、俺は考えることをやめた。
「あ、準備できたのか?」
その声に反応する俺の身体。俺はこの声の主に恐怖心しか持っていないようだ。
剣を抜け……辰海……負けるな辰海……力の……限り……生きてやれ……
「あの……帰っていいですか?」
俺は声の主こと霙ちゃんに向かい力の限り声を出したのだ。悔いはない。例えどんな反応をされようと俺は負けないここまで言えたんだ。失うものなど他にはない。
「は?」
「あ、はい。すいません」
その威圧的な『は?』は反則だと思うの。