テキストサイズ

☆幻想窓☆

第12章 お嬢様の自慰


◆◆◆

あたしは部屋に戻る前に風呂に入った。

愛された体、熱くなった体を洗い流すのは
ほんのちょっぴり悲しいけどね。

風呂に入った後は髪を乾かし、自分の部屋に
戻る。

戻ると、鈍感執事のシンが居た。

「お嬢様ー、どこ行ってたんですか!」

シンにはぜーったい内緒。

「どこに行ってたっていいだろ…」

いつものごとく、男口調。

「あぁ、愛おしきお嬢様!」

「キモいぞ。ケッ」

「そんなこと言わないでくださいよ…」

いつもは高貴な顔立ちで美しい青年なのに
なんだか甘えん坊だわね…

可愛らしいのだけど。

あたしも好きよ、シン……。

落ち込むシンは可愛いな…
可愛がりたくなるな。


「そう落ち込むな、シン。心のどこかでは
愛してやる」

落ち着かせようと言った一言。

「あ…ありがとうございます、お嬢様」

シンは何か違うな。
性格を使い分けているかのようだ…

鈍感なヤツに見えるけど
本当はそんなヤツじゃなさそうに見えて
──…

いや、鈍感でいい。

「ふっ…」

あたしはニコッと微笑んだ。

「お嬢様、では失礼します」

「お、行くのか?」
寂しげに聞いたあたし…。

「はい、ちょっとした仕事が…」

「そうか、がんばれよ」

ガチャリとドアを閉めて
出て行ったシン。

レナはベッドに寝転がった。

「あたし……一線をこえたね」

天井と電気の光をただただ眺めるばかりだ。

──でもよかったんだ、それで
妊娠してでもいいくらいの欲望だったし

例え命が宿ったとしても
中絶なんてしない。

その激しく求めていた快感が
具現化したのであろうか……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ