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☆幻想窓☆

第9章 夕闇の踊り子


ボクは教室を飛び出し
運動場に急いでかけつけた。

******

はぁ……はぁ……

「月詠長さん!!」

怒るように叫んだ

彼女はおどろいて、踊るのをやめた。
「サトシ君…っどうしたの?」

「君って…確かケガしてるんだよね!
なのになんで!?どうして踊ってんだよ!」

小さい子を説教するかのように言う
サトシ。

「あっ…それは…えっと…私…」

彼女はおどろいて、とまどう。

「私…多分幽霊だと思う…本当の身体は
あっちにあると思うの…」

「え…ってことは死んでないんだよね?」

「うん…きっと眠ってると思う」

「ねぇ…あっちって…どこ?」

「私の家だと思う…きっと…」

月詠長さん……
本当の月詠長さんに会いたいよ…

「ね…月詠長さん…怒ってごめん…
ぎゅっとしていい?」

「えっ…幽霊だけどいいの?」

「…うん、ぎゅっとさせて」

すりぬけても…ぎゅっと…

サトシはぎゅっと月詠長さんを抱きしめた。

夕闇の抱擁
ふたりはオレンジ色に染まる……。

すりぬけちゃったのが、少し悲しく思う

「ねぇ…月詠長さん…」

「なに…?サトシ君」

「家ってどこにあるの?」

「……あっちのほう、ついてきて!」

彼女は走り、指をさした。
さした方向は、南の方向

「洋館が見えるでしょ?あれが私の家」

「…そうか」

洋館はすぐ近くにあった。

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