☆幻想窓☆
第9章 夕闇の踊り子
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「サトシ君…私の幽霊をここまで連れてきてくれてありがとう」
幽霊だった時も変わらぬその笑顔で
ありがとうを伝える彼女。
ボクは、コクンとうなずいた
「サトシ君と出会えてなかったら、永遠に目覚めなかっただろうね」
「そうかもしれない…」
この出会いは…きっと
「ボクが月詠長さんの踊りに見とれた時から出会っていた…すなわち運命の出会い?」
「あははっ、そうだねー、でも
見とれたんじゃなくて、ひきよせた感じ?」
そっか
確かにあの感覚を思い出せば
ひきよせられて、縛られる感覚だったな
「そうだね」
「…話変わるけど、私ね」
「うん」
「私、踊り子になりたい夢があってね
それで毎日頑張ってたんだ
でもね、練習中に大ケガしちゃって
それほど高度なダンスだったの
それで、結果は命に別状なしで、安静にって
医師から言われたの……」
「そうなんだ…」
聞くだけでも痛々しい彼女の話。
「それで、眠るなか夢でね…
私は運動場で踊っていたの
その時、金城サトシ君っていう男子生徒に出会ったの。
サトシ君は魅入るように見ていた。私はもっと見て欲しくてサトシ君をひきよせた」
夢と現実がリンクしていたのか。
めずらしい話だ。
夢で、特殊能力を持っていたんだ…
だから、あんなヘンな事があったんだ
ありえない事が…