
光
第9章 夏休み突入
「……ェ!!……ナェ!!」
誰か呼んでる…?
うっすら目を開けるけど焦点が定まらない
不意に抱きしめられる
暖かい手…?
震える私を包みこむ
力強い腕
懐かしい…ずっと焦がれたこの匂い
「…アツシ…先輩…?」
会いたい
何度思ったか…
霞む視線をしっかり受け止める瞳
「カナエ!
大丈夫かっ?」
心配そうに覗きこむ
なんでそんな顔してるの?
会えたことが嬉しくて
名前を呼んでくれたことが嬉しくて
私を覚えててくれた
それだけで胸が張り裂けそう
薄れていく意識の中で
これは夢かな…?
なんて幸せな夢だろう
「会いたかった…」
思わずこぼれ落ちた本音
幸せな気持ちのまま
私は意識を手放した
