テキストサイズ

DAYS

第40章 ホント ノ ホント M×N





車の中には、重い空気が流れてる。

和はやっと泣き止んではいるけど、
でも瞳はいつもより何倍も潤んでいて
暗い車内でも、少しの光を反射して
光っていた。


玄関を過ぎても、リビングに入っても
和は一言も話さない。

ずっと俺の表情を伺っているようだった。

不安そうな顔をして。
傷ついた顔をして。


…ごめん。本当に、

「ごめん。」


初めて口を開いた俺に、和は驚いた
様子を見せた。


「謝らないでよー…」
「でも俺が…、本当にごめん。」
「も、ホントに大丈夫だから!」


頭を下げて謝る俺に慌てて近づくと、
俺の肩を持ち上げようとする。

でもどうしても俺は頭を上げられない。

和の顔をこんなに近くで見られる自信がない。
ただただ申し訳ない。


「大丈夫だから。

…俺もごめんね。」
「何で和が謝るんだよ。」


思わず顔を上げてしまった俺と、
和の目が合う。

また涙を溜めた瞳が俺を見る。


「気を付けてたつもりだったんだけど…、
防げなかった。」

ダメだなぁ、男のクセに。


そう言って笑ってるみたいに見せてるけど、
全然笑えてないよ。

声も震えちゃってんじゃん。


「ごめんね、ごめん。」


言葉を重ねれば重ねるほど、和の声は
震えを増していく。

その声に堪らず和を抱きしめた。

でもその行為が和に与えたのは
安心でも温もりでもない。


「やだぁっ!」


恐怖だった。


拒絶されたんだ、和に。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ