テキストサイズ

DAYS

第40章 ホント ノ ホント M×N




俺たちの間の壁が見えるのは、
俺たちだけではない。

メンバーにもその壁は見えるらしい。


「最近、何かあった?」
「…え?」


隣にスッと座ってきたのは、翔さん。

俺の分のコーヒーも持ってきてくれる辺り、
やっぱりスマートな大人だと思う。


「ゲーム、さっきから全然うまくいって
ないけど?」
「あ…。」
「ま、それだけじゃないけど。」


俺と潤くんとの楽屋での距離が、
あの時から変わった訳ではない。

近くなった訳でも、遠くなった訳でもない。


元々楽屋とか、メンバーの前で
ベタベタするような事はなかったから
気が付かれてないと思ってた。

それを見抜かれた。


「…さすがだなぁ、翔さん。」
「俺だけじゃないと思うよ?」

智くんも、相葉くんも気付いてるよ。


そう言ってコーヒーを口に含んでる
翔さんは、優しく俺を見つめてくれる。


「あの日から?」
「…うん。

潤くんが俺に触れてくれない。」


きっかけはあの事件しかない。

俺はすっかり立ち直ったつもりなのに、
それでも潤くんは触れてくれない。

どんなに近寄っても、上手く交わされる。


弱さを言葉に出してしまったら、
鼻の奥がツンとしてきた。


「…っ、翔さぁーん…。」
「あーあ。どうしたもんかなぁ。」


俺の背中をポンポンと優しく摩ってくれる。

久しぶりの人の暖かさにまた泣けてくる。


…これが潤くんなら、もっと良かったのに。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ