DAYS
第40章 ホント ノ ホント M×N
そっと和の方に近づいて、
肩に手を掛けるとぐいっと体を起こして
顔を覗き込んでみる。
淵のギリギリにまで溜まった涙が、
ポロりとこぼれ落ちた。
その涙があまりにも儚くて綺麗で、
ぎゅっと和の体を抱きしめた。
ふわふわとした毛が触れて、
少しくすぐったい。
「あのー…」
「淋しかったにゃん。」
「え?」
「…淋しかった…にゃん。」
「ごめん!」
体を小さく震わせて、俺の胸で
丸まる和は愛おしくて。
何よりも俺が求めていた温度だった。
あの日からずっと、俺が突き放していた、
1番大切な温もり。
小さく震える体が、和の悲しみを
伝えてくるようで抱きしめる腕に力を込めた。
「ごめんな…。」
「ううん。
でもね、淋しかった…。
どれだけ潤くんが好きで、どれだけ
潤くんに大切にされてきたか、
すごく分かったから…にゃん。」
恥ずかしいクセに、まだ猫のままで
いようとする和が可愛くて、
ついつい意地悪をしたくなるんだけど、
さすがにそれは節操なさすぎる。
すべては俺のせいで起こった事。
それがどれだけ和を傷つけたか、
きっと謝っても謝りきれないくらい。
「ごめん。」
「…潤くんが触れてくれない事の方が、
俺にとってはよっぽど辛かったし
傷ついた事、潤くん分かんないにゃん?」
頬を紅潮させて、必然的に上目遣い。
そんな恥ずかしさを隠すための
和の猫語、だったのか。
本音でも、猫語なら素直になれるかなって
思ったのかな?
…可愛すぎ。