DAYS
第7章 crazy for you M×N
M side
窓ガラスに、こてんと頭を預けて
すこーっと寝てる和。
本当は、和が行きたいって言ってた
ニューヨークに行こうかなって思ってた。
だけど、疲れてるのにそれはしんどいかな、
って思って、温泉旅行に行くことにした。
そんなに遠くではないし、
二人でゆっくり出来るしね。
連日、映画の撮影やら何やらで
お疲れな和。
二人っきりでの時間も取ることが難しい
くらい忙しくて。
同じ家に住んでたのに、ずっとすれ違いの
生活をしてたから。
「寂しい思い、させちゃったな。」
昨日も遅かったしな。
仕事が終わってるって和が分かってるのを
知らないで、ずっと待たしてた。
「ごめんな。」
今まで我慢させた分、
二人での時間をどうしても作りたくて。
仕事の合間を縫って、旅行の計画をしてた。
車は高速道路を軽快に走り抜けていく。
平日ということもあって、車も少ない。
予定よりも随分早く、目的の旅館に着いた。
「和。和。」
「ん…うぅん?」
「着いたよ。起きて。」
「やだぁ…。抱っこ。」
…可愛い。
寝起きの和は、いつもよりも素直で
甘えん坊になる。
すごく可愛い。すごく可愛いんだけど、
さすがに抱っこしてチェックインしちゃ
まずいでしょ?
「あとでにしようね。」
って、ぶーぶー言ってる和を何とか
宥めて、手早くチェックインを済ませる。
受け取った鍵で、部屋を開けると
「わぁ…。」
思わず声が漏れるほどの絶景だった。
大きな窓からは、海が見えて。
バルコニーまであって、
露天風呂まで付いてる。
想像以上の部屋に俺も驚いた。
それは和も同じみたいで、
さっきまでは眠たそうに、うつらうつら
してたのに、今はバッチリ目が起きてて
俺以上に驚いた顔をしてる。
「綺麗…。すごくいい所だね。」
「気に入ってくれた?」
「うん。…ぁりがと。」
小さい声。
顔を真っ赤にして和が言ってくれた。
それだけで十分で、
堪らなく可愛くて。
「どうする?どこか行く?」
「やだ。」
「せっかくだよ?」
「いいの。二人でゆっくりしたい…。」
今までにないストレートな言葉。
慣れない言葉に顔が熱くなった。