DAYS
第41章 メレンゲクッキー S×N
「何かあった…?」
「…。」
言おうとしない和の背中を、
トントンと優しく叩く。
そのリズムが心地よいのか、だんだん
落ち着いてきてる。
すぅ、と大きく息を吸い込んで
呼吸を整える音が聞こえた。
そのあとすぐに、
「あのね…。」
そう切り出した和の瞳を覗きながら、
次の言葉をゆっくりと待つ。
「…翔のこと、好きだから
協力してくれって、ある女の子から
ずっとメールが来てて…。」
「うん。」
「無視してたんだけど、
俺たちの事、知ってるって…。」
「え…?」
また涙が溢れてきて上手く言葉が
繋がっていない和の手を取れば、
その手はとても冷たくて…。
恐怖が伝わってきた。
ずっと怖かったんだ。
ずっと戦ってたんだ…。
「でも外ではー…。」
仕事にプライベートは持ち込まない。
俺たちが付き合い始めた時から、
ルールというかモラルとして定めてた。
仕事場では、距離感を一定に保ってる。
楽屋以外で2人っきりになる事もない。
「…家まで、つけてきたみたい…。」
「嘘だろ…。」
和が放った衝撃的な言葉に、頭が痛くなった。
和がスマホを取り出したかと思うと
画面を見せてきた。
俺と和が、2人で同じ部屋に入る画像だった。
「それも1枚じゃない。
何日分も撮ってて、
言い訳出来なくて、俺…っ。」
ごめんね…って、和が悲痛に、
叫ぶように泣く。
こんなに傷ついてたのに、気が付かなかった。
毎日一緒にいるのに。
「…ごめん。」