DAYS
第7章 crazy for you M×N
M side
照れちゃって、なかなか近づいてきて
くれなくて、俺から迎えに行こうかなって
和に向かって歩みを進めていたとき、
携帯に着信が入る。
正直、出なくてもいいや。って思ってたら
画面を見ると、
「わっ、仕事の電話だ。
ちょっと外出てかけてくるね。」
そう言って、ドタバタと寝室を出て、
露天風呂があったほうの
バルコニーに出た。
せっかく二人だけの旅行。
携帯の電源も切っちゃえば良かったなぁ
なんて、そんなことを頭で考えながら
電話に出てる。
ぱっと上を見ると、数多の星。
感動して、少しの間言葉が出なかった。
電話越しに、
「…さん、松本さん。」
「あ、すいません。」
「お疲れのところ、電話をして
すみません。」
相手に変に気を使わせちゃって。
ずっと都会に埋もれていたら
気付くことが出来なかった空の星。
その輝きはいつも見ているような、
あの人工的な明るさではなくて
自らが発する自然の力で。
昔、こんな綺麗なものを見ても
きっと何も感じなかったんだろうけど
今は違う。
感動すれば、一緒に見たいって
思う人がいてくれるし、
嬉しい、悲しいって感じる時に
いつもそばにいてくれる人がいるから。
「では、そういうことです。」
「はい。分かりました。
わざわざすみません。はい。ーはい。
それでは、失礼致します。」
気が付けばだいぶ話し込んでいて。
一人にしちゃった和を思って、
電話が切れると同時にダッシュした。
寝室までの僅かな距離。
離れたほんの少しの時間も全部が
もったいないから、
急いで和のいる寝室へと向かった。
「和、ごめん。遅くなっちゃった。」
麩を開けながら言うけど、返事はない。
あれ、怒っちゃった?
返事がないなんて、あんまりある事じゃ
ないから不安になってくる。
「和ー?」
部屋を見渡すと、
布団の中で、丸まって寝転んでる
和を見つけた。
「和。寝ちゃったか…。」
掛け布団を上下させてるのが分かる。
あどけなさの残る、少し幼い寝顔は
とても幸せそうな寝顔で。
邪魔するのも気が引けるくらい、
気持ちよさそうに寝てるから…。