DAYS
第10章 ためらいは捨てて S×N
N side
テレビの中から、
木枯らし一号が吹いたってニュースが
聞こえてくる。
「もうすっかり寒くなったなぁ。」
ビールの缶をプシュって開けて、
喉を鳴らして飲んでる翔。
いや、今日オフだからって、
今真昼間何ですけどね、櫻井さん。
「和也も飲む?」
缶を軽く横に振って、ヘラヘラ笑ってる。
「え、もう酔っ払ったの?」
「んー。ふふふ。」
昼間からのビールは美味しいなぁ。って
言いながら、グビグビ飲んでるし。
ふと翔の近くを見れば、空になってる缶が
ちらほら。
「そんなに飲んでたの?」
「お前がゲームしてたからだろ。」
さっきまで酔ってたくせに、いきなり
真剣な瞳になってる。
そんな翔と目が合って、ドキってした。
頬はいい具合に紅潮してて、
唇が少しだけ開いてる。
そんなダダ漏れの色気にまで
嫉妬してる。悲しくなってくる。
「…飲む?」
「まだ真昼間だよ。」
「関係ないじゃん。オフだもん。」
って言って、何本目かの缶を開けて
俺に渡してくる。
でもなぁ、って飲むのを躊躇っていたら
「飲まないの?」
しょうがないなぁ。
翔が呟いた、かと思うと
「んんぅ!?ん…ふ、はっ。」
「…はぁ。飲めた?」
唇をぺろりと舐めてる舌に、
腰にくるような刺激が背中を走った。
あれだけやったのに、
全然足りない。
翔を見るだけで、体が疼いてくる。
翔の、缶を持つ手にぞくってする。
俺をじーっと見てるその瞳にも。
「ね、もっとちょうだい。」
「そうこなくっちゃ。」
翔の口から、俺の口に移されてく
ビールは少しだけぬるくなってて、
それがまた妙に生々しくて
俺の中の何かを掻き立ててくる。
飲みきれないビールが首筋を伝う。
いくらぬるくなってるって言っても、
この時期のこの冷たさは震えるほどだった。
「和也は感じてるのか。」
「違うっ。冷たかっただけー」
「素直になれよ。」
いつもより低めのこもったような声で
囁かれる。
「ほら。」
「翔…。翔の…。」
「…ん?」
「バカぁぁ!!」
叫んで、
近くにあったクッションを手に取って
顔を埋めた。