
DAYS
第10章 ためらいは捨てて S×N
それからは忙しかった。
お互い、どちらも仕事が忙しくって。
二人で会える時間が取れなくて。
忙しいってことは、ありがたい。
だけど、翔と一緒に過ごせる時間が欲しい。
「電話、しようかな?」
って、何度も通話ボタンを押そうとしては、
時間を見て諦めた。
今日は五人での仕事。
雑誌の撮影の仕事だ。
そういえば、五人で集まるのも
久しぶりじゃない?
今日はいつもより早く来た。
翔と少しでも一緒にいたいから。
いつも一番に楽屋にいるから、
二人っきりになれるかな、って思って。
「おはようございます。」
扉を開ければ、
「おはよー。」
やっぱり想像通り、翔の声がした。
やった。二人っきりじゃん!
…って思ったのに。
「わぁー!おはよー、ニノー♪」
やたらテンションが高いやつがいる。
それが誰だか、俺はよーく知ってる。
「俺は翔に挨拶したの!」
「えー。ひどくなーい?
ね、翔ちゃん?」
相葉さんが、翔の隣に座って
首を翔の肩にこてんとつけて聞いてる。
あんなの妬けない訳がない。
「うんうん、そうだな。」
翔まで、相葉さんの悪ノリに乗ってる。
「最低。」
「あ、和也っ。」
それだけ残して、楽屋から飛び出した。
翔の声が聞こえたけど、
全部振り切って廊下を走った。
空いてるその辺の部屋を探した。
幸い部屋はすぐに見つかって。
電気も付いていない部屋の扉を開けて、
中へ入ると、扉を閉めてその場に
しゃがみ込んだ。
「何なんだよ…。」
久しぶりに会えたのに…。
ちょっとでも早く会いたくて、
いつもよりも早起きしたのに。
俺の深いため息が、暗い、
誰もいない空き部屋に響く。
その静寂だった部屋に、
ばたばたした騒がしい足音が近づいてくる。
がちゃっと扉が開くと、
「和也…っ。はぁ。」
「…翔。」
ぜぇぜぇと息を切らしてる翔。
額にうっすらと汗を浮かばせてる。
それを見ただけで、
俺のことを探して走り回ってくれた事が
分かった。
「ごめんな。」「ごめんなさい。」
声が揃って驚いた。
顔を上げれば、翔も同じだったみたいで。
