
DAYS
第10章 ためらいは捨てて S×N
N side
「今日の撮影用の衣装です。」
どうぞ。って渡されたそれ。
「え、これって俺のですか?」
「はい。二宮さんのです。」
え。
いや、だってこれは女の子が着るやつじゃん。
「これ、誰かのと間違えてません?」
「いえ。合ってますよ。
あ、今日の企画を聞いてないんですか?
罰ゲーム企画ですよ。」
「え、なんの!?」
「この前、レギュラー番組の収録後に
嵐の皆さんにくじを引いてもらいました
よね?それです。」
あ、あれ?
確かに引いた覚えもあるけどー
「それだけで、この格好!?」
「はい。今日の撮影はそれですよ。」
俺の持ってる服を指さしながら言ってる。
いつも通りの撮影だと思ってたら
こんなん着るわけ?
こんな可愛い服、着れる訳ないじゃん。
どんだけぶーぶー言っても、
「早く着てください。メイクも
やらなきゃダメなんですから。」
皆さんに迷惑かけちゃいますよ。
いいんですか。って。
メイクさんに叱られちゃって、
しぶしぶ袖を通していった。
「わぁ!二宮さん、似合ってますよ。」
「嬉しくないんですけど。」
「ふふ。そうですよね。
じゃあ、メイク始めますね。」
ここまできたら、逆に開き直るしかない。
「飛びっきり可愛くしてください。」
メイクさんのグッドサインが見えて、
覚悟を決めて目を閉じた。
「お疲れ様でした。終わりましたよ。」
メイクさんに言われるけど、
目なんて開けられなかった。
だって、自分のこんな姿を
鏡で見る勇気なんてないじゃん。
「ありがとうございましたー。」
鏡を見ないように、極力下を向いて
部屋から出た。
廊下でスタッフさんにすれ違っても、
俺の事を分かっていない人が多かった
らしくて(後日談)、ジロジロと
見られはしたけど
挨拶はされなくて助かった。
ほら、声出したらびっくりされちゃう
でしょ?
どこまでのクオリティーかは分かんない
けど、少なくとも今の俺は、
『女子』だから。
こんな格好やだよ…。
翔、どんな反応するんだろ。
とりあえず、楽屋に入ったら
皆に一発吠えてやろう。
