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DAYS

第11章 好きな時間 M×N S×O A×♡



M side



皆に挨拶を終えて、和と楽屋で二人。


「俺たちも帰ろっか。」
「うん。」


荷物をちゃっちゃとまとめる。

季節は気づけばもう秋で。


「冷え込んできたなぁ。」
「今日は特別寒いね。」


はい。って、和が渡してくれたのは
マフラー。


「いいの?」
「俺は、大丈夫だから。まだ使わないし。」


使わないのに持ってきてるのって、
俺のためでしょ?


真っ赤な顔をして、

「早く受け取ってよ。」

って言ってる辺りたぶん図星だな。


ありがたく、渡されたマフラーを
首に巻き付けていく。
ふわっと香る、和の匂い。


「和の匂いだ。」
「ちょ、恥ずかし…。」
「落ち着くな。和の匂い、好きだよ。

もちろん、全部好きだけどね。」


にこって笑えば、嬉しそうな顔をして
すぐに、ふいっと目を逸らしちゃうけど。


そういう天邪鬼なところ、変わんないな。


「和、可愛い。」
「…っ!もー、帰るの!」


真っ赤な顔して、スタスタと楽屋を出て
地下の駐車場まで歩いていく。


和は分かってない。
可愛いって言った時の反応が
可愛いってことを。


耳まで赤くして、だけど口では
「うっさい。」って可愛げのないことを
言うところが可愛い。


とにかく可愛い。和は可愛い。



駐車場に着いた時には、もう和は車で
待ってる。

「早く鍵開けてよ。」


そんなぶっきら棒なところも。



車を走らせてると、


「ねぇ、潤。」
「ん?」
「…何でもない。」


仕事の時と、同じ人物とは思えないくらい
甘えてくるようになる。


俺と二人っきりになると、
和はいつもよりも甘くなる。


そんな和を知る度に、好きになる。
どんどん深みにはまっていく。



車から下りるとやっぱり寒い。


「早く家の中入ろ。」
「うん、寒い。

今日、ハンバーグ。」


単語だけの言葉。
そこに込められた精一杯の素直さが
愛おしくて。



「ただいまー。」
「ただいまー。」


同じドアをくぐって、
二人だけの声が部屋に響く。


「おかえり。」


手を伸ばせば、ぎゅって抱きついてくる。


これ、俺の好きな時間。

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