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第11章 好きな時間 M×N S×O A×♡



N side


「今日、本当にハンバーグなの?」


家に着いてから、もう四度目の質問。


「何回も聞かないでよ。ハンバーグ。」
「だって、一昨日もハンバーグだったから。」
「ハンバーグ。」


やれやれ、って顔して、潤が苦笑してる。


だって、好きなんだもん。
潤が作ってくれるハンバーグ。


「先にお風呂、入っちゃったら?」
「うーん。」
「ほら。眠くなる前に入っておいで。」
「潤、お母さんみたいだね。」


潤のいるキッチンに顔を出しながら
くすって笑った。


すると、


「お母さんとは、こんなことしないでしょ。」


潤がこっちに向かってくる、と思ったら
唇に温かい感触。


びっくりして、目を瞑ることも出来なくて
まばたきすらせず、潤を見た。


「恋人だから、するんだよ。」


俺を包み込むような、柔らかい笑顔。


恋人って言葉を、胸の中を何度も
繰り返してる。


「分かった?」


素直にこくんと頷くと、

「ん。」

頭をぽんと優しく撫でてくれた。


「…お風呂行ってくる。」
「ゆっくり入っておいで。」


潤の言葉に頷づくだけの返事をして
風呂場まで逃げるように走った。



「ふぅー…。」

ちゃぷんと音が浴室に響く。

「かっこよすぎるよ…。」


あんなの、ずるいでしょ?
さらってああいうこと出来るの、
格好いいに決まってるじゃん。


「だめだ、のぼせる。」


ゆっくりって言われたけど、無理だ。
さっさと上がっちゃお。



風呂場からリビングに行くと、


「あ、早かったね。」
「うん。」
「ちゃんと温まったの?」
「大丈夫だって。」


心配症だなぁ、潤は。


「ならいいけど。ご飯食べる?」
「うん。」


ダイニングには既に用意されてるご飯。


「あ、ハンバーグだ。」
「和がハンバーグって言ったんじゃん。」


ふふっ、って笑いながら潤が席に着く。

そうだけど。
本当にハンバーグだと思わなかった。


向かい合って、席に着く。

潤がご飯を食べてる間中、俺を見てる。
俺が言うのも何だけど、その顔は
すごく幸せそうで。

にこにこしてる潤が幸せそうで。



この時間が、好きだ。

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