テキストサイズ

DAYS

第11章 好きな時間 M×N S×O A×♡



S side


「今日、このあとどうする?」


楽屋を出て、局の廊下を二人で歩いてる。


「んー?今日はねぇ、ふふ。」
「何かあるの?」


嬉しそうに、楽しそうに笑ってる智。
その笑みが柔らかくて、俺も
つられて笑ってしまう。


「予定、あるの?」


再度尋ねてみたら、


「ない。」
「え?」


ないんかい。

思わず口に出して、ツッコミそうになった。


え、だってあれだけ楽しそうにしてたら
何かあるのかな?って思ってたのに。


「だってね。」
「ん?」
「今日このあとどうするって、このあとも
一緒にいるってことでしょ?」
「うん。」


そりゃー、帰る家が同じだから。


「何か夫婦みたいだったなぁ、って。
ふふっ。」


何だ、この可愛い生物は。


ほら。翔くん、早く帰ろ。って
満面の笑みで俺を振り返る。


その動きが、スローモーションで見えて
つい見惚れてしまった。


後ろ姿から漂うオーラとか、
振り向きざまの髪の毛の揺れ方とか、
その空気の流れに乗ってきた智の香りとか、
ふにゃってしてる笑顔とか、
俺を見てる優しい瞳とか。


上げたらキリがないくらい、
その一瞬だけで智は俺を虜にする。


たった一秒でもっと惚れさせるなんて、
ずるいよな、智は。


こんな感じで、毎日好きなところが増える。



好きなところが増える瞬間。
この瞬間が、好きだ。




「翔くん?」
「あっ…。帰ろっか。」


うん。って返事をして、歩き出す。



車に乗り込むと、シートベルトをして
ちょこんと大人しく座ってる。


その姿が、何か可愛くて
ふふっと笑うと


「翔くん?」
「好き。」



何だか無性に伝えたくなって。
この愛しい人に。目の前の大切な人に。


智は、

「も、どうしたの?」

って顔を赤くしたけど、すぐに


「俺も好きだよ。」


恥ずかしそうに目を伏せてるとことか、
耳まで真っ赤にしてるとことか。


智は可愛い。


「早く帰ろ。」
「うん。」


甘い、ピンクの雰囲気の車内。


でもこんなのも悪くないなって
思えるのは、智だからだと思う。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ