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DAYS

第11章 好きな時間 M×N S×O A×♡



O side


「あ、でも食べるもの何も無いよ。」


家までの帰路の途中、思い出した
みたいに、翔くんが声を上げた。


「そういえば無いね。」
「どうしよっか。」
「どっかで食べてく?」


お腹も空いてるし、近場でいいか。

俺が提案すると、


「でも、智と家でゆっくりしたいし…。」


真剣な顔でぶつぶつ言って悩んでる。


今、さらっと嬉しいこと言ったよね?


翔くんは、こういうとこがあると思う。
変なとこ抜けてるっていうか…。


「翔くん、嬉しい。」
「へ?」
「そんなに俺と一緒にいたいんだぁ。」


さっきの発言に、気付いてないだろう
本人に、そう指摘すれば


「あっ…。」


途端、自分の言ったことに気付いたのか
顔を赤くしてる。


仕事で、番組を上手く仕切ってるような
格好いい翔くんも好き。

俺にはあんなの無理だし、
尊敬…っていうのにも近いと思う。


だけど、素の翔くんが一番好きだよ。
当然でしょ?


さっきまでのびしっとした感じは
どこへやら、可愛くなってる。


仕事と、プライベート。
その切り替えの時間の車内。


これ、俺の好きな時間なんだ。



「ふふ、翔くん。顔赤いね。」
「気のせい、気のせい。

それより、ね?ご飯の事考えよ。」


照れるのを隠すみたいに、
急に早口で捲し立ててる。


翔くん、それじゃあ余計にバレバレだよ。
照れてるってこと。

だけど、これ以上触れるのも
可哀想だから、


「その辺でぱっぱと食べちゃおう。」
「うん。手早くね。」


時間がもったいない。って、
すぐに車を向かわせてる翔くん。


変に必死になってる顔、好きだよ。



「はい。じゃあ、食べよう。」


連れて来てくれたのは、
小洒落たレストラン。

目の前に並べられてるのは
パスタだの、サラダだの、その他色々。


「こんなに食べ切れる?」
「だって、智、お腹空いてるかな?って。」


分かってたんだ。
何も言ってなかったのに。


付き合って、もう3年。

それ以前から、
もうずっと一緒にいたんだもんなぁ。

お互いのことも、だいぶ分かる。


こうやって、年月を感じる時も
好きかな。

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