DAYS
第12章 Happy Birthday♡♡
M side
「ごめん!仕事で遅れる!」
11月25日。時刻は夜の11時前。
あと1時間もすれば、
恋人、智の誕生日だ。
本当なら今頃、
「今終わったから、すぐに帰るね!」
「うん。待ってるね。」
って、電話して。
ラブラブな時間を過ごせてたのに・・・。
遅れることを伝えると、
「そっかぁ・・・。」
って一瞬悲しそうな声が聞こえたけど、
すぐに
「仕事だもん。頑張って。」
いつもみたいな穏やかな口調。
だけど、少しだけ声は震えてて。
「ごめん。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「すぐに終わらせるから。」
「うん。頑張ってね。」
名残惜しく、後ろ髪を引かれるような
思いで電話を切った。
つー、つーっていう電話から聞こえる
音が、空虚感を増幅させる。
「はぁー・・・。」
雑誌の撮影。
機材のトラブルと、事故の影響で起きた
道路渋滞に巻き込まれたカメラマンさんの
到着が遅れたことで、だいぶスタートが
遅くなっちゃってて。
「とことんついてない。」
撮影用の衣装に着替えが終わり、
楽屋に1人。
いつもそうだ。
俺の誕生日の日も、
嵐で飛行機が飛ばなくて
東京に帰れなくて、会えなくて。
付き合って1年目の記念日も、
俺が熱を出してろくに祝えなくて。
2年目こそは、って張り切ったら
事故渋滞で帰宅したのが夜中の2時。
「なんでこんなについてないんだよ・・・。」
相葉くんが、スーパーミラクルボーイ
なら、俺って真逆だな。
「撮影、お願いしまーす。」
「あ、はい。すぐ行きます。」
飲みかけのコーヒーをぐっと
流し込む。
「よし。早く終わらせよう。」
同じことを何度も、呪文のように
唱えて、スタジオに向かった。
「終わった・・・。」
全てを終わらせて、
車に乗り込んだのは1時を回ってた。
思ったよりも、時間がかかってる。
何か表情が硬いって、
言われちゃって。
「智、起きてるかな・・・。」
家で待ってるだろう恋人を
心配すれば、自然とアクセルを
強く踏み込む。
あと30分で、智に会える。