
DAYS
第12章 Happy Birthday♡♡
O side
「お誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」
グラスが重なって、チンって高い音が
レストランの個室に響く。
「はぁ。このワイン、美味しいね。」
「そう?気に入ってくれてよかった。」
スーツでびしっと決めてる翔ちゃん。
グラスを傾けて、ワインを口に流し込む
姿は、映画のワンシーンみたいだ。
「これ、智さんの生まれ年のワインだよ。」
「え、そうなの?
めっちゃ高いでしょ?」
ワインに詳しくない俺だって
分かるような、銘柄のワイン。
「そんなの気にしなくていいよ。
せっかくの誕生日じゃん。」
ほら、もっと食べなよ。って
料理を勧めてくる。
ホテルの最上階のレストラン。
俺らが座ってるのは、窓際の特等席。
都会のネオンが、キラキラとワインを
より一層輝かせてる。
翔ちゃん、高い所苦手なのにね。
「あ、美味しい。」
「でしょ?」
スマートに言ってる風の翔ちゃん。
こっそりガッツポーズしちゃってるの、
バレてるよ。
ちゃんとした名前のあるような
関係じゃない俺たち。
ただの仕事仲間じゃなくて。
ただの友人でもなくて。
俺は、翔ちゃんが好き。
翔ちゃんは、俺が好き。
…って、ニノが言ってた。
でも、イマイチよく分かってない。
自分の気持ちも、
翔ちゃんの気持ちも。
「それを両想いって言わないで、
何ていうんですか。」
呆れ顔のニノの顔を思い出す。
「何でそう思うの?」
「何でって…。本当に言ってるん
ですか?」
逃げないで、ちゃんと考えないと
あとで後悔しますよ。
ニノの言葉が、頭にループする。
「智さん?」
「あ、え?」
「考え事してたでしょ?」
難しい顔してたよ、って。
「ごめん。」
「誕生日くらい忘れなよ。」
そう翔ちゃんは言って笑う。
その笑顔を見ると、
好き。って言葉が頭に浮かぶ。
こういうことを言うの?
間違えだったらどうしようとか、
そんなの分かんないけど。
「忘れらんないよ。」
「え?」
「好き。」
伝えなきゃ始まんないのは、
目に見えてる。
