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DAYS

第13章 愛のままに わがままに N×M




「ニノ、遅くない?」


ふと、相葉くんが声を上げる。


「確かに。もう5分は経ってるよ。」
「どこ行ったの?」
「分かんないなぁ…。」


和、俺何かした?

和の気持ちが分からなくて。
気持ちがモヤモヤする。


「松潤、お前顔が怖いぞ。」
「え?」


翔さんからの言葉にハッとする。


「あ、いつもの顔に戻った。」
「そんなにひどい顔してた?」
「ああ、かなり。」


これが楽屋でよかった。
仕事中に影響なんて出せないから。


「ごめん。ありがと、翔さん。」
「ん。お前は笑ってる方がいいよ。」


持ってた新聞を机にぽーんと放り投げて、
俺の頭を両手でくしゃくしゃにしてくる。


「わ。翔さん!」
「セットまだだろ?じゃあいいじゃん。」
「そういう問題じゃー」


誰か助けてくれ、と辺りを見回せば


「雅紀は可愛いね。」
「大ちゃんの方が可愛い。」
「そういうとこか可愛いんだよ。」
「もー、大ちゃん♡」


熱い熱い熱い。

バレた途端、2人の中で何か緩んだ
みたいで、甘い雰囲気を醸し出してる。


もう、何なんだよ、この楽屋は。


「だぁーー!」
「わ!」


俺がいきなり立ち上がると、
翔さんも、さすがの2人もこっちを見てる。


「やっぱり俺、探してくるから。」
「いってらっしゃーい。」
「なるべく早く帰っておいでね。」
「うん、分かってる。」


とりあえず自販機の辺りから探すか。

何て考えながら、楽屋のドアを開けると


「和!」
「…。」


開けたらすぐ、ドアの付近に立ってた和。


不機嫌全開モードは収まるどころか、
さっきの何倍もひどくなってる。


「どこ行ってたの?」
「…。」
「なぁ。」
「…。」


俺の問いに、和は一言も答えなかった。


何で?
何か俺がしたの?


聞きたいことは、喉の奥まで
出かかってるのに、どうしても言えなかった。


怖かったんだ。それを聞くのが。
結局、自分しか見えてなかったんだよ。



その後も、和が楽屋で口を開くことは
なかった。


その様子を見て、リーダーと相葉くんが
口パクで『大丈夫?』って。


その問いに、俺は首を横に振ることしか
出来なかった。

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