
DAYS
第13章 愛のままに わがままに N×M
結局、俺は子供なんだよな。
馬鹿みたいに嫉妬して、
暴走しちゃうんだ。
こんなに焦るのは、
翔さんだからだと思う。
翔さんは、俺にないものを
たくさん持ってるから。
頭いいし、気遣いだって出来るし、
思いやりがあるし、頼りがいもある。
そんな相手とどう戦えっていうんだよ。
『ずっと言わないつもりだったんだ。
だけど…。ごめん。』
辛そうな顔をしてた。
分かるよ。
だって、俺も潤が好きなんだもん。
ずっと片想いをしてたんだもん。
ずっと好きだったんだもん。
でも、譲れない。
潤だけは渡せない。
その気持ちはあるのに。
言葉に出来なかった。
ただ黙り込む俺に、
『ニノ、本当にごめん。』
ごめんって何なの?
何に謝ってんの?
やめてよ、翔ちゃん。
謝るなら初めから言わないで。
言葉が出ない代わりに、
涙がぼろぼろ出てくる。
自分が情けなかった。
そんな俺を見ると、翔ちゃんは
「ニノ!?ごめん。ごめん…。」
困らせちゃって、ごめんね。
翔ちゃんの手が、俺の背中を
優しく摩ってくれてる。
その手は広くて、暖かくて。
だけど、この手が潤を
奪おうとしてるんだと思った途端
「大丈夫だから、やめて。」
吐き気がした。
口に手を当てながら、急いで
立ち上がると
「ごめん。今日は帰る…。」
「どうした?気分悪いのか?」
ふらつく俺の体を支えようと、
翔ちゃんが手を差し出すけど、
「触るな。」
自分でもびっくりするくらい
低く硬い声が出た。
そこから、家までの記憶はない。
家に帰ったら、ひたすら泣いた。
どうすればいいか、分らなかった。
潤に相談しよう、って。
潤に話せば何とかなるかもって。
だけど、怖かった。
もしかしたら、
潤は翔ちゃんの方にいっちゃうんじゃ
ないかって。
「ごめん。潤…。」
また涙が溢れてくる。
楽屋での2人の様子が
何度も何度もフラッシュバックする。
「どうすりゃ、いいんだよ!」
どれだけ泣いても、
どれだけ叫んでも。
声が枯れていくだけなのに。
「和。」
