
DAYS
第13章 愛のままに わがままに N×M
「…え?」
今、何か聞こえたような…。
「潤?」
「和。」
やばい。幻聴が聞こえてくる。
もうここまできたらやばいな、俺。
「ははっ。」
乾いた笑い声。
余計に虚しくなって、
涙が溢れてくる。
「潤…。」
「だから、ここにいるだろ?」
そっと、頬に温かい感触。
「え?」
潤の唇が、俺の頬に優しく触れていた。
「泣いてる…。ごめんな。」
「っ。潤ぅ…。」
「おいで。」
潤が、自分の体の前で
手を広げて待ってる。
ぼふっと、どれだけ勢いよく
飛び込んでも
「和…。」
潤は優しく抱きとめてくれる。
「何でここいるの…?」
「ん?」
尋ねれば、少し体の距離を離して
俺の顔を覗き込んでくる。
「和に会いたかったから。」
仕事用じゃない。
アイドルスマイルでもない。
ありのままの潤の笑顔。
それだけで、もう幸せだよ。
「ごめん。和。」
ごめん。
その言葉に、体が反応した。
もしかして、俺に別れを告げるために
ここまできたの?
あんな酷いことした俺に
呆れて、翔ちゃんの方に…?
「やだ!」
「え…」
「潤は俺のなの。潤が好きなの。
大好きなの。愛してるの。
だから…。
離れるなんて言わないで…。っ。」
最後は声が震えて、
上手く伝わらなかったかもしれない。
でも、届いて欲しくて。
「和…。」
「好きっ。大好き、だっ。」
「うん。…うん。知ってるよ。」
潤の声も震えてて。
俺を抱きしめる腕にも、
さっきより力が入ってる。
「俺も。和が好きだ。」
「っ。じゅんっ。」
「翔くんにもちゃんと伝えた。
俺が好きなのは和だけだって。
ごめんな?気づかなくて。
1人で苦しい思いさせてごめん。」
潤が悪いんじゃないよ。
俺こそ…
「ちゃんと信じてあげられなくて
ごめんっね。」
「ん?」
「俺、自信なくて、っ。
翔ちゃんに、潤盗られちゃうって…。
潤と翔ちゃんのちょっとの会話にも
嫉妬して、当り散らして…っ。
ごめんー」
でも、潤が好きだから。
好きなんだよ。
