
DAYS
第14章 sound O×S
翔に見惚れてたら、
「智くん。顔がにやけてる。」
翔の冷たい視線が突き刺さる。
それ、可愛いだけだよ?
なんて言ったら怒るのは
分かりきってるから、やめとこ。
照れ屋さんだから、嫁さん。
「ごめんごめん。作ろっか。
俺は火の番するから、翔は
野菜担当な。」
「うん!」
張り切って、玉ねぎとネギ、人参を
切っていくんだけど
「わっ!翔、その切り方危ないって!」
「大丈夫、大丈夫。」
「絶対手、切るって!」
「心配症だなぁ、智くんは。
っいた。」
「大丈夫!?」
言ってるそばから、手を切ってる。
「うん。ちょっと切っただけだもん。」
「ちょっとじゃないだろ、これ。
血、結構出てる。」
赤くなってる人さし指を
ぱくっと口に含む。
「ちょ、智くん。汚いよ!」
指を咥えたまま、首を横に振る。
「も、大丈夫だから!!」
強引に指を引き抜いて、
リビングのほうに走ってっちゃった。
「翔ー?大丈夫?」
「うん。ちゃんと絆創膏も貼ったもん。」
ソファーに座って、
一生懸命絆創膏を貼ってる翔が
可愛かった。
片手で頑張らなくても、
それくらい俺がやるのに。
「ほら、大丈夫。」
切った左手をひらひらして、
俺に見せてる。
「もう翔は座ってな。」
「え、でもー」
「一緒に作るのは今度。」
「…。」
「しょーう。」
今にも泣きそうな翔を、
正面から柔らかくハグする。
「一緒に暮らしてるんだからさ、
いつでも作れるよ。」
「…うん。分かってる。」
「これからもずっとだよ。」
「うん。」
まだ納得してなさそうな翔。
もー、頑固だから。
「座ってろよ。」
「智くんが料理してるとこ、
見たい。」
「ダーメ。座ってる。」
こんな可愛いヤツにずっと見られてちゃ
落ち着いて料理なんか出来ない。
だけど、そんなの翔が分かってる
はずもなくて、
涙声になりながら
「…俺のこと、嫌い?」
って。
付き合って、2年。
一緒に住み始めて4ヶ月。
まだまだコイツの可愛さには
慣れない。
一生トリコなんだよ。
