
DAYS
第15章 SUPER LOVE SONG A×S
広い局の廊下を、
ダッシュで走り抜けてく。
今なら世界新も出るんじゃね?
なんて頭の隅でバカなことを
考えながら、愛しい人の姿を探す。
でも、どこにもいなくて。
いつも収録前に会うトイレも、
自販機の前も、
廊下の奥のお気に入りの場所も
全部探したのに。
どこにも翔ちゃんの姿がない。
「どこに行ったんだ…?」
息を切らして、どれだけ走っても
見つからない。
他の階に行っても見つからなくて。
気が付けば、収録が始まる30分前。
そろそろ楽屋に戻らなきゃまずい。
「とりあえず戻ろ。」
収録中、気まずいのは我慢しよう。
今日の帰り。
一緒に帰って、俺の家に連れ込もう。
ありのまま、
思ってる事を全部話した方がいい。
「早く戻んないと。」
エレベーターで、楽屋のある階まで
戻らないと。
エレベーターを待つ間、
ずーっと翔ちゃんの事を考えた。
どれだけ傷つけたか分かんない。
もしかしたら、今日で
関係が終わるかもしれない。
今日、強引に連れて帰ったら
余計に嫌われるんじゃないかって。
だけど、何もしないより
ずっとずっといい。
何もしなくて、このまま曖昧な関係で
ズルズル引きずるのだけはやだ。
「よし。」
顔を両手で挟み込むように叩いて
気合いを入れる。
ぱんって軽い音が廊下に響くのと
同時に、チーンと少し高い音が、
エレベーターの到着を知らせた。
あ、来た来た。
乗り込もうと思って、
顔を上げた瞬間
「え…?」
エレベーターの中には
抱き合ってる翔ちゃんと松潤の姿。
「なんで…。」
扉は開いているのに、お互いの肩に
顔を埋めたまま、離れようとしない2人。
「扉開いてるよ。」
「いいよ。」
「よくないよ。ほら、閉めて。」
松潤が、「閉」のボタンに
手を伸ばすのが見える。
吐き気がした。
意味が分らなかった。
階段を使って、急いで楽屋に戻った。
「あれ、相葉さん、1人?」
リーダーとニノの姿が見える。
2人の間に駆け寄って。
俺は泣いた。
