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DAYS

第15章 SUPER LOVE SONG A×S




S side


「…。」
「抱いてよ。…お願い。」
「…。」


何を言っても、反応はなくて。


「…雅紀?」


…やっぱりもうダメなのか。


「…。」
「っ。俺、帰るね。ごめん!」


もう、帰ろう。


荷物を手早くまとめて、病室の扉の方へ
歩き出した時、


「翔。」
「…え、今ー」
「俺も、お前を抱きたい。」


沈んでく夕日が、部屋をオレンジに
染めていく。


はっきりと。

俺の方を見て言った雅紀は眩しくて。

雅紀の言った言葉も。


雅紀がこんなにキラキラして、
いつもより格好よく見えるのは
夕日のせいだけじゃないでしょ?



「…本当にいいの?」
「翔も、いいの?」
「俺は…。

ずっと雅紀が欲しかったから…。」
「うん。知ってる。」
「え!?」


ニコニコしてる雅紀。

こんな時も爽やかで、可愛くて。


ちょっと見惚れちゃった。



「って。何で分かったの!?」
「えー?

だって、寝込み襲われちゃったもん♡」
「寝込みってー…。」


え、起きてたの!?


「嘘…。」
「ほんと。」
「分かってたならー」


もっと早く言って欲しかった。


「ごめんね。逃げてた。」
「逃げてた?」
「うん…。

翔を傷つけたくない、とか
言い訳してた。

本当は怖かったんだ。
抱いたら、翔は全部俺のモノに
なるでしょ?

…それで、本当にいいのかって。

翔の未来とか、希望とか全部ー」
「バカっ!」


突然大きな声を出したからか、
びくってしてる雅紀。


本当にバカだよ。


「俺の全部、もうとっくに雅紀のモノ
なんだからね?

…責任、とれよ。」
「翔ちゃーん…。」


とうとう泣き出しちゃった。

さっきまでの格好いい雰囲気は
すっかりどこかへいっちゃって、
わんわん泣いてる。


…やっぱり、好き、だなぁ。


「俺も、翔が欲しい。」
「うん。俺も。」
「もう我慢なんてしないから。」


その言葉にドキッとした。



だけどさ、


「その前に、退院しようね。」
「あっ…。」


忘れてたかもしれないけど、


ここ、病室ですから。

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