DAYS
第2章 愛愛愛 S×A
S side
…また泣いてる。
そうじゃないよ、雅紀。
嬉しかったから。
雅紀の気持ち、すごく伝わってきて。
ただ、ただね。
「俺がキスしたいから。」
「ふぇ?」
間の抜けたへんてこな返事。
それが何だかとても雅紀らしくて。
弾かれたようにパッと顔を上げた雅紀。
「キス、してもいい?」
やっと状況が飲み込めたのか、
雅紀の顔がどんどん赤くなっていく。
「キス、してもいい?」
もう一度重ねて聞くと、
すごく小さな声で
「…いいよ。」
って。
もう本当に可愛い。
一つひとつの動作が愛おしくて。
雅紀のほうをみると、
…目を閉じて待ってくれてる。
そんな純情な雅紀が可愛くて、可愛いくて。
ゆっくりとキスをする。
少しずつ、キスを深くしていくと、
「ふ、あっ、…ふ、しょ、ちゃん。」
って。一生懸命名前を呼んでくれて。
止まらなくなりそうなのを必死で我慢して。
唇を離すと、
とろんとした雅紀と目が合う。
普段の明るい雰囲気とはがらりと変わって、
…色っぽい。
「翔ちゃん?」
めちゃくちゃにキスをしたい気持ちを
何とか抑えて、
もう一度、ちゅっと軽くキスを落とした。
「…好きだよ。」
「うん。俺も。」
向日葵みたいな、眩しい笑顔で
笑ってくれる。
今はそれだけで充分幸せだから。
ちょっとずつ、恋人らしいことも
出来たらな…なんて。
無理はさせたくないから。
「雅紀。」
って呼べば、笑ってくれる。
そんな雅紀を大事にしたいから。
誰よりも幸せにしたいから。
「幸せにするから。」
ありきたりな言葉かもしれないけど、
こんな言葉しか出てこなくて。
これ以上の言葉がなくて。
「うん。…うん。…っ。」
雅紀の目から、また涙がこぼれ落ちる。
泣きながら笑ってる雅紀が、
誰よりも綺麗で。
絶対に幸せにするから。
「ずっと一緒にいような。」