DAYS
第3章 心の中と頭の中 N×O
O side
「ふぃー、生き返る。」
「智、親父みたい…。」
湯船に向かい合って浸かってる。
少し動く度に、
ちゃぷんって水の音が風呂場に響く。
「個展、どー?」
和が前髪をかき上げながら俺に聞く。
そんな動作が色っぽくて、つい見惚れる。
「智さーん?」
「へ?」
「なに、見惚れてたの?」
ニヤって笑ってる、自信たっぷりな顔。
…その顔が好き。
なんて、絶対に言わないけど。
「うーん。出来はいいよ。」
「そっか。…こっち。」
和が俺の腕を引っ張っるから、
ー和の腕のなかにすっぽり収まる俺。
「…っ。」
不意打ちはずるい…。
「ふふ、耳。真っ赤だよ。」
って、耳元で囁くから
体がぶるって震える。
「智、耳弱いもんね。」
そう言って、耳を口に含んで
ぺろって舐めるから、
「…っ、ふっ。」
「…弱いもんね。」
って一つずつ確認するみたいに
聞いてくるから、
「弱いからっ…あっ。」
恥ずかしいのを我慢して言ったら、
くすって笑う声が聞こえてきて。
「ここは…?」
和の手が、乳首を掠める。
それと同時に首筋を舌が這うから、
「あ、あ。…ふっ。」
「智、好き?」
「んー、…ふっ。」
「…俺のこと、好き?」
…和?
和の声が暗くて、少し震えている。
「和…?」
「ごめん。分かってるんだけど…。」
後ろを振り向こうとしたら、
今までよりもぎゅっと抱きしめられて、
和の顔は見えないけど
悲しい顔してることなんてすぐにわかる。
不安にさせてたんだって、
今気付く。
個展で忙しいの分かってくれてて、
電話とか
メールとか
あんまり出来ないのも理解してくれてて。
製作を始めたら、
何にもしないのを分かっててくれて、
自分も忙しいのに
ご飯を買ってきてリビングに
置いてくれてたり。
邪魔したくないからって、
製作の時は絶対に家に来てくれなかった。
…寂しいって思ってたの、俺だけじゃ
なかったんだね。
我慢、させてたんだよね。
体にぐっと力を入れて
和の腕から出て、和を正面から見る。
下を向いてる和の顔を両手で
包んで、
ーちゅっとキスをした。