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DAYS

第21章 愛を込めて花束を S×N





これから。

そんなの考えた事、なかった。


そりゃ、多少はある。あるけど…


「翔とずっと一緒にいる」を
どうやって実現すればいいのか、とか。

…親のことと、とか。


具体的に未来を描けば描くほど、
キャンパスが黒くなっていくみたいで。


ずっと逃げてるんだ。




「ニノー!」
「何ですか?」
「収録の時のツッコミ、ひどくなかった?」
「そーですか?」
「まぁ、ウケてたからいいけどね!」


もーちょっと優しくしてね♡

わざわざ♡までつけて、それだけ言うと
「潤ー♡」って一目散に駆け寄って、
2人で手を繋いで帰って行った。



その姿に、イラッとする自分がいて。




今日の収録だって、
あんなに強いツッコミをするつもりは
なかった。

だけど、収録の休憩の合間にも
仲良さそうに話す2人に嫉妬して…


相葉さんにひどい事をしちゃった。




俺の好きな人は、翔。
櫻井翔。

それは絶対的な事実で。

だけど、確かなモノなんてない
関係の俺たち。


いつか揺らぐんじゃないかって
不安がいつもあった。



それなのに、
あの2人は順調そうで。


すごく幸せそうで。

すごく暖かくて。


何が違うんだろう。
何に嫉妬してるんだろう。


ごちゃごちゃな感情が散らかって、
自分でも拾えなくなってきてる。



「和、帰ろっか。」
「…。」
「和?」
「あっ、ごめん。」
「ほら、やっぱり疲れてるんだよ。

早く帰って休もうね。」
「うん…。」


下を向いたまま、翔のあとを着いてく。


…何で、手繋いでくれないの?

寂しいよ。

右手が冷たい。


ささくれだった俺の心は
些細な事にさえ、敏感になってる。








「ただいまー。」
「…ただいま。」


マンションに帰ってきても、
ふつふつと沸いてくる妙な感情は
止まることがなくて。



「和、お風呂入る?
それとも先にご飯にする?」
「…お風呂。」
「じゃあ、いっておいで。」



…何で一緒に入ろうって
言ってくれないの?


こんな事考えてる自分が嫌だ。



こんな自分を見られたくなくて、
急いでお風呂場に駆け込んだ。

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